トヨタのキャブオーバー型車のハイエースが、2019年頃にフルモデルチェンジする可能性が取りざたされている。
ハイエースと言えば、5代目となるH200系モデルが現行モデルとして2004年から発売中。
商用バンとしては代表的な存在であり、他には福祉車両や送迎バスとして活用されたり、キャンピングカーとして使われるなど、幅広いシチュエーションで役立つ車とあって、その人気は海外を含めて高い。
そんなハイエースは、貨物車並みの積載量を誇り、耐久性やエンジンパワーも高いゆえ、救急車や現金輸送車のベースとしても活用されているほどだ。
そのハイエースが、いよいよ15年ぶりにフルモデルチェンジをして6代目H300系へとリニューアルされる見通しだ。
今回は、300系となる新型ハイエースの最新情報をお届けする。
【追記】
東京モーターショー2017にて新型ハイエースと思われるコンセプトカーの「LCV CONCEPT」の公開が決定。
詳しくは本記事内にて。
新型ハイエース 300系のフルモデルチェンジ最新情報
300系となる新型ハイエースのフルモデルチェンジに関する注目内容は、
- 車体形式
- 搭載エンジン
- 外観デザイン
の3つとなる。
新型ハイエース フルモデルチェンジでセミオーバー形式を採用か?
フルモデルチェンジ後の300系新型ハイエースの車体形式には、ミニバンでも採用されているセミオーバー形式を採用する可能性が有力となっている。
<セミオーバー採用のノア>
現行型の200系ハイエースについては、セミオーバー形式ではなく、キャブオーバーが採用されている。
このキャブオーバーからセミオーバーへの変更は安全面の向上が理由と想定されるのだ。
キャブオーバーとセミオーバーはどう違うの?
そもそもキャブオーバー方式がセミオーバー方式よりも不利と見られる部分は何なのか。
それは以下のポイントとなる。
- フロントにボンネットがなく衝突時の危険性が高まる
- エンジンを運転席&助手席の真下に搭載するため、熱の暑さや騒音の問題がある
この反面、セミオーバーの場合だとボンネットがあるため、キャブオーバーよりもドライバーや助手席の乗員の安全確保や、歩行者等との衝突時の衝突を緩和させる等の安全面での基準向上がされると考えられる。
また、セミオーバー形式では、エンジンについては、フロントに搭載する形になるため、走行性能の大きな向上も期待できる。
キャブオーバーにも良い面はある
キャブオーバーに関しては、実はボディフレーム強化等で衝突安全を考慮するといった工夫がされているのだ。
また、ボンネットがないことで、
- 車内のスペースを広く活用できる
- 運転時に前方の見切り性能が高い
- 小回りが効きやすい
といったメリットもある。
ハイエースの人気の秘訣とも言える荷室の広さはこのキャブオーバー方式採用が大きく貢献していたと言える。
ハイエースのデザインに関しても、2015年度グッドデザイン・ロングライフデザイン賞を受賞するほどの好評価を得ているが、これもキャブオーバーならではのおかげと言えるだろう。
なので、キャブオーバーというのは、決して悪い部分ばかりではないのだ。
ただ、300系 新型ハイエースはグローバル視点を踏まえたトヨタの世界戦略車として展開することもあって、海外の衝突安全基準を充たすために、セミオーバー式へ切り替えるという大幅なリニューアルが行われると考えられる。
新型ハイエース 外観デザインはプロエースがヒント
フルモデルチェンジ後の300系次期ハイエースの外観デザインは、欧州で発売されているプロエースがヒントなると予想される。
この後に紹介するが、実際に東京モーターショー2017で公開されるコンセプトカーの外観は、このプロエースのデザインに酷似したものとなっている。
<プロエース>
この新型プロエースは、プジョーシトロエンからのOEMモデルとなり、トヨタのキーンルックといったデザインが採用されているという内容になっている。
それゆえ、トヨタ純血の車とは言えず、次期300系ハイエースこそがトヨタが本命として送り出す新世代の商用バンとなる見通し。
ただ、新型ハイエースの外観デザインに関しては、セミオーバー採用ということもあって、プロエースのデザインに近いものになる可能性も。
ただ、ノア・ヴォクシー、アルファード・ヴェルファイア似のデザインではさすがに、商用バンとしての存在感が低くなるため、どのようにデザインの差別化が図られるのかが注目のポイントとなる。
次期ハイエースのコンセプト 「LCV CONCEPT」
東京モーターショー2017にて次期ハイエースのコンセプトカーになると思われる「LCV CONCEPT(ライト・コマーシャル・ビークル コンセプト)」が初公開されることが決定した。
LCV CONCEPTは、「商用車(Commercial Vehicle)に求められる耐久性、経済性、積載性に、乗る人や働く人に"やさしい"をプラスした新しい発想のマルチバン」のコンセプトのもと、3つのモデルが存在する。
〇LCV D-CARGO CONCEPT
LCV D-CARGO CONCEPT(エル・シー・ブイ ディー・カーゴ コンセプト)に関しては、小口配送ビジネスの拡大を見据えた小型デリバリーバンモデルとなる。
車の助手席側に、前後スライドドアを備え、その上と低床フラットフロアの採用によって大開口間口を実現。
これによって荷物の積み下ろしがしやすくなり、助手席側のみでも配送作業が完結できる。
さらに、積載スペースを助手席でも採用したことで、長い荷物も載せやすくなり、広さと使いやすさを両立したカーゴスペースが実現されている。
運転席は視界が広く、付けはずしが可能となるタブレットがステアリング中央部に搭載させたシェルコックピットを採用して、配達に必要な情報を提供。
また、リヤに上下2分割式バックドアを採用することで、狭い駐車スペースでも開閉しやすいように工夫がされている。
LCV D-CARGO CONCEPTのボディサイズは、
- 全長4,700㎜
- 全幅1,735㎜
- 全高1,885㎜
- 助手席側室内長3,500㎜
- 室内幅1,550㎜
- 室内高1,345㎜
乗車定員については一人となる。
〇LCV BUSINESS LOUNGE CONCEPT (エル・シー・ブイ ビジネス・ラウンジ コンセプト)
LCV BUSINESS LOUNGE CONCEPTは、ビジネス専用ハイヤーモデルとなり、「世界で活躍するビジネスパーソンに快適なプライベート空間を提供し、最高のコンディションにいざなう」をコンセプトに開発されたモデル。
特徴としては、広々とした頭上空間と2座席のみとしたリアキャビンとハイルーフによって車の室内にて衣服の着替えが可能な所。
ゆとりのあるリフレッシュスペースが創りだされており、コンフォータブルモードを採用した2人分のシートを備えることで、人が最もくつろぐことができる室内空間を実現。
また、運転席の横となる助手席スペースには、サイドアクセスラゲージというスーツケースから着替えや必要なアイテムを取り出すことができる仕組みを採用。
さらに、テレビ会議も可能であり、多彩なインフォメーションニーズに応えることができる大型ディスプレイも搭載している。
その上、プライバシーを守る瞬間調光ウィンドウ、スライドテーブルなどの装備を備えることで、車の移動中であってもビジネス活動が可能であり、かつリフレッシュもできる内容となっている。
LCV BUSINESS LOUNGE CONCEPTのボディサイズは、
- 全長4,700㎜
- 全幅1,735㎜
- 全高2,120㎜
- 助手席側室内長3,500㎜
- 室内幅1,550㎜
- 室内高1,580 ㎜
乗車定員については3人となる。
〇LCV ATHLETIC TOURER CONCEPT
LCV ATHLETIC TOURER CONCEPT(エル・シー・ブイ アスレチック・ツアラー コンセプト)は、車いすアスリートのための Myトランスポーターモデルとなる。
「車いすアスリートが、ひとりで楽に競技用具を積み込み、乗り込んで、快適に運転することができる」をコンセプトとしている。
特徴としては、車いすに乗ったまま楽に乗降することが可能となっている所。
その為に、助手席側にあるスライドドアの開口部分に床下格納ワイドスロープを設置し、車高ダウン機能による緩やかなスロープ角度によって車いすに乗りながら乗降しやすくなっている。
運転席には、前後にステアリングが可動するステアリングテレスコピックに加え、上下にシートが可動するシートクッションリフターによって、車いすと運転席の間のスムーズな移乗がサポートされる。
車いす競技車両をメンテナンスする時に役立つスライドトレイ、スペアホイール収納のスペース、工具類を収める脱着式ツールボックス等の採用によって車いすアスリートが必要とする装備を備えており、スポーティーギアスペースとしての使いやすさが追求されている。
車内には、車いす競技車両がそのまま乗せることが可能となっているため、これまで車に乗せるたびに組み立て・分解を必要としていたアスリートの負担が軽減されることとなる。
LCV ATHLETIC TOURER CONCEPTのボディサイズは、
全長4,700㎜
全幅1,735㎜
全高2,120㎜
助手席側室内長3,500㎜
室内幅1,550㎜
室内高1,580 ㎜
乗車定員については2人となる。
新型ハイエース 荷室長のデメリットをどう克服するのか
現行の200系ハイエースでは、最大荷室長が3メートルという広い空間を実現している所が人気の理由の一つとなるが、セミオーバー式を採用するに伴って、荷室長が狭くなってしまうのは避けがたい所。
ただ、広い荷室長を確保するというのは、新型ハイエースにとって重要な課題でもある。
かつてセミオーバーを採用していたグランビアを参考にすると、2.4メートル以上の長さを確保するのは難しいと予想。
床下にリアシートを格納できるダイブダウン方式を採用するなどの、調整をいかに行って、広い荷室長を再現できるのかが大きな注目ポイントとなる。
新型ハイエース300系の搭載エンジン
フルモデルチェンジ後の新型ハイエースに搭載されるエンジンとしては、1GD-FTV型の2.8リッター直噴ターボディーゼルエンジンが有力となっている。
この2.8リッターディーゼルエンジンに関しては、すでにランドクルーザープラドに搭載されている。
・ランドクルーザープラドが2017年にリニューアル
>>ランドクルーザープラドのマイナーチェンジ最新情報
<参考スペック>
- 総排気量 2,754cc
- 内径×行程 92×103.6mm
- 圧縮比 15.6
- 最高出力 130kW(177PS)/3,400rpm
- 最大トルク 450Nm(45.9kgm)/1,600-2,400rpm
ディーゼルエンジン以外には、現在の200系に採用されている2TR-FE型ガソリンエンジンを継続もしくは改良したエンジンの搭載と予想。
時代のニーズを踏まえれば、ハイブリッドモデルのラインナップも期待したい所ですが、現時点ではトヨタのディーゼルとハイブリッドを同一車種でラインナップさせない方針があるため、ハイエースハイブリッド誕生の可能性は低い。
フルモデルチェンジ後も200系ハイエースと併売になる可能性も
300系では、あまりにも内容が大胆に変わってしまうということもあって、旧来の200系型の特徴を求めるユーザーのことを考慮し、フルモデルチェンジ後も200系が継続販売される可能性も。
安全装備には第2世代トヨタセーフティセンスと予想
フルモデルチェンジ後の新型ハイエースの安全装備に関しては、トヨタセーフティセンスCではなく、トヨタセーフティセンスPもしくは第2世代版トヨタセーフティセンスが搭載されると予想。
ハイエースは、介護車両や送迎車両としての用途も多いだけに、歩行者検知に対応する自動ブレーキ(プリクラッシュセーフティシステム)など、安全性能の高いトヨタセーフティセンスが採用されるのが自然と言えるだろう。
ちなみに、トヨタセーフティセンスPには、
- レーンディパーチャーアラート(ステアリング制御機能付)
- オートマチックハイビーム
- レーダークルーズコントロール
という機能も備わるため、ドライバーの運転負担軽減も期待できる。
また、第2世代トヨタセーフティセンスの場合は、自動ブレーキが自転車や夜間の歩行者の検知まで対応しており、日産のプロパイロットのような同一車線の自動運転技術も採用されている。
【新型アルファード、ヴェルファイアのマイナーチェンジ情報】の記事で記載しているが、トヨタは2018年以降の新型車に第2世代トヨタセーフティセンスを導入していくことを発表しており、発売時期を考えると、次期ハイエースには第2世代TSSが搭載される可能性の方が高いと言える。
新型ハイエースの発売時期は?15年ぶりのフルモデルチェンジが有力
6代目となる新型ハイエースの発売時期に関しては、現在2019年が有力となっている。
これは、15年ぶりのフルモデルチェンジということになるが、実は現行の5代目ハイエースも約15年のスパンでフルモデルチェンジを行っている。
<参考>
4代目H100系ハイエース⇒1989年発売
5代目H200系ハイエース⇒2004年発売
2019年にフルモデルチェンジとなれば、今回も同様のスパンでのリニューアルとなる。
300系 新型ハイエースのフルモデルチェンジ最新情報のまとめ
商用バンとして絶大な人気を誇るハイエースが、フルモデルチェンジ後の300系では、セミオーバーの採用等、旧来とは大幅にイメージが変わる、いわば転換期とも言える。
また、ハイエース最大のライバル、日産キャラバンに関しては、現行型に改良されてからは好調であり、【キャラバンNV350のマイナーチェンジ情報】の記事で詳しく解説しているが、2017年7月にはマイナーチェンジを行って大幅に進化させている。
次期ハイエースの投入後に、旧来のユーザーが300系へスムーズに移行できるのか、それとも200系に留まるのか要注目だ。
ちなみに200系キャラバンに関しては、2017年12月に最後の大型改良が行われると見られており、詳しくは【200系ハイエースのマイナーチェンジ情報】の記事を合わせてお読みいただきたい。