トヨタ自動車の人気SUVのハリアーが2017年6月8日にビッグマイナーチェンジを実施することとなった。
現行ハリアーは、モデルライフ後半を迎え、デザイン、パワートレイン共に改良されるが、今回は、近年のトヨタ車種のマイナーチェンジの中でも最大級の改良といっても過言ではない内容となっている。
それは、全車速ACC対応や電動パーキングブレーキ搭載等という、クラウンのMCでさえも行われなかったものである。
そんな注目所が盛りだくさんの、ハリアーのマイナーチェンジに関する最新情報をお届けする。
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トヨタの人気SUV ハリアーとは?
トヨタのハリアーは、1997年に高級サルーンの性格を持つクロスオーバーSUVとしてデビュー。海外では、レクサスRXの名前で販売されている。
日本市場へのレクサスブランド導入に伴って、2009年の3代目レクサスRXの発売と共にハリアーブランドは消滅するかと思われたが、2代目ハリアーはその後も併売する形をとっていた。
その後、2代目が生産終了した2012年から2013年まで約一年の休売期間を経て、2013年には海外専売となった4代目RAV4をベースに日本国内専売車種として待望の復活を遂げたことは記憶に新しい。ハリアー復活には、各ディーラー販売店からの熱いコールがあったという。
<3代目ハリアーからはレクサスRXとは別物に>
当時は、アルテッツァやアリストのように、ハリアーもレクサスブランドへ移行してレクサスRXに統合されると思っていたユーザーも多いのではないだろうか。
各メーカー、グローバル化の流れで多くの車種を世界共通モデルとして統合する傾向にあるなか、ハリアーがレクサスRXとは完全に分離し日本独自車種として発売できたのは、それだけ日本で愛するユーザーが多いがゆえと言えるだろう。
実際に2016年上半期のハリアーの販売台数は約20,000台に達する。
2016年9月の販売台数に関しては、3,833台というSUVジャンルの中では、ホンダのヴェゼル(8,296台)に次ぐ2位に値する程だ。
そんな3代目ハリアーも2017にはフルモデルチェンジから4年が経ちモデルライフ後半に突入する。
3代目ハリアーは、高級感のある内外装デザインに加え、広い室内空間、そしてSUVトップレベルの燃費性能を誇るハイブリッドモデルの設定等が好評だが、やや安全装備等ではトヨタの新型車に比べて遅れを取っている点は否めない。
そこで、2017年6月8日にビッグマイナーチェンジを行い、後期型へと大幅改良される。
新型ハリアーのマイナーチェンジの最新情報について
ビッグマイナーチェンジされる新型ハリアーについてだが、今回の変更内容で大きくポイントとなるのは、ターボモデルの追加とトヨタセーフティセンスP搭載。
それらについて詳しく見ていこう。
ハリアーのマイナーチェンジで追加されるターボモデルについて
マイナーチェンジ後の新型ハリアーに搭載予定のターボエンジンは、レクサスNXから採用されている過給ダウンサイジングエンジンの8AR-FTSだ。
これは、2015年のビッグマイナーチェンジ後の新型クラウンアスリートにも搭載されているエンジンだ。
・2.0Lターボエンジンについて
排気ガス温度を低減し、燃費を向上するエキゾーストマニホールド一体型シリンダーヘッドと、排気干渉を抑えることで低回転から高回転まで高トルクを確保するツインスクロールターボチャージャーを採用し、気持ちのよい加速フィールが体感できます。さらに、水冷式インタークーラーをエンジンに直付けすることにより高いレスポンス性能を確保しました。また、D-4S*1のターボ用の直噴技術「D-4ST*2」を採用。吸気バルブの開閉タイミングを最適制御する「VVT-iW*3」やアイドリングストップ機能と合わせて優れた燃費性能も実現しました。
新型ハリアーに搭載される直列4気筒 2.0リッター直噴ターボエンジンのスペックは、
- 最高出力170kW(231PS)/5200-5600rpm
- 最大トルク350Nm(35.7kgm)/1650-4000rpm
となる。
燃費に関しては、クラウンアスリートはJC08モードで13.4km/ℓとなっているが、ハリアーもこれに近い13.0km/Lとなる(4WDモデルは12.6km/L)。
レクサスではこの2ℓターボエンジンは、レクサス車ではFFであるレクサスNXで搭載済みだが、トヨタ車としてはFRのクラウンしか搭載例がないため、ハリアーがトヨタ車初のFFでの搭載例となる。
この新型ハリアーへのターボ搭載モデルに関しては、専用の装備が採用されている。
ターボモデル専用装備としては、
- パフォーマンスダンパー
- 専用ロアフロントグリル
- 専用チューニングされたサスペンション
- 専用アッパーフロントグリル
- 専用マフラー
- ドライブモードセレクトにて「SPORT」を設定
等が採用される。
パフォーマンスダンパーについては、レクサスNX Fスポーツ等に採用されているものと同様であり、これによって高い制御性能を得ることとなる。
他にもインテリアに専用の加飾を施したり、強化ブレーキや大口怪ホイールといった特別な装備がされ、スポーティに特化したモデルとなる見込み。
<ガソリンモデルとハイブリッドモデルは継続へ>
新型ハリアーには、ターボモデルが投入されるからといって現在の2ℓガソリンモデルがカタログ落ちする事はない。
また、2.5ℓのハイブリッドモデルに関しても継続してラインナップされる。
<マイナーチェンジ後のグレード体系>
マイナーチェンジ後のグレード体系は、以下の3つから成り立つ。
- ELEGANCE
- PREMIUM
- PROGRESS
そして、PREMIUMグレードとPROGRESSグレートには、Metal & Leather Packageが設定される。
新型ハリアーにトヨタセーフティセンスP採用
そして今回のマイナーチェンジでもう一つの目玉となるトヨタの先進安全パッケージのトヨタセーフティセンスPの搭載。
トヨタセーフティセンスPには以下の機能が搭載されている。
- プリクラッシュセーフティシステム(歩行者検知機能付衝突回避支援型)
- レーンディパーチャーアラート(ステアリング制御付)
- オートマチックハイビーム
- レーダークルーズコントロール
このトヨタセーフティセンスに関しては、2017年度末までに主なトヨタ車全てに搭載することが公表されているため、近い将来ハリアーにも搭載されることを予想していた人は少なくないのではないだろうか。
注目されるのは、レーダークルーズコントロールの性能について。
新型プリウスには、全車速対応のレーダークルーズコントロールが採用されているが、クラウンについては40㎞/h以上での走行時にしか作動しないブレーキ制御タイプが採用となっている。
他にもC-HRは、前者。ランドクルーザーには後者のタイプが採用となっている。
これらの特徴を見ると、フルモデルチェンジされている車には全車速対応タイプが、マイナーチェンジで装備された車にはブレーキ制御タイプが採用されていることが分かる。
しかしながら、ハリアーは、なんと全車速対応レーダークルーズコントロールタイプのものが採用されるのだ。
さらに、新型SUVのC-HR同様、マイナーチェンジ後のハリアーには、オートホールド機能付きの電動パーキングブレーキが搭載されることとなった。
クラウンのマイナーチェンジでさえ実現できなかったこれらの内容は、需要が多く人気の高いSUVのハリアーだからこそ実現できたと言えるだろう。
<その他、内外装等の変更について>
その他、内外装等の変更点は以下の通り。
- LEDヘッドランプの形状変更
- アダプティブLEDヘッドライト(AHS)採用
- ナビゲーション画面を9.2インチへ拡大(MC前は8インチだった)
- クラクションにプレミアムホーン採用
- 室内灯のLED化
- シーケンシャルウィンカー(流れるウインカー)採用
- ウェルカムライト導入
- パノラミックビューモニターがシースルービューに対応
- シートベンチレーション採用(Metal & Leather Packag)
- ドアノブパネルにピアノブラック採用
- カードキー採用
- 新ボディカラーの採用
- 新たな内装色としてダークサドルタンを追加
トヨタ車に搭載が少ないシーケンシャルターンランプ追加は、地味に嬉しいポイントと言える。
ハリアー、マイナーチェンジ後の価格について
マイナーチェンジ後のハリアーの販売価格については以下の通りとなる。
<2.0リッターターボモデル>
モデル | 駆動方式 | 価格 |
ELEGANCE | 2WD(FF) | 3,380,400円 |
4WD | 3,574,800円 | |
PREMIUM | 2WD(FF) | 3,519,720円 |
4WD | 3,714,120円 | |
PREMIUM “Metal and Leather Package” | 2WD(FF) | 3,850,200円 |
4WD | 4,044,600円 | |
PROGRESS | 2WD(FF) | 4,050,000円 |
4WD | 4,244,400円 | |
PROGRESS“Metal and Leather Package” | 2WD(FF) | 4,380,480円 |
4WD | 4,574,880円 |
<2.0リッターガソリンエンジンモデル>
モデル | 駆動方式 | 価格 |
ELEGANCE | 2WD(FF) | 2,949,480円 |
4WD | 3,143,880円 | |
PREMIUM | 2WD(FF) | 3,249,720円 |
4WD | 3,444,120円 | |
PREMIUM “Metal and Leather Package” | 2WD(FF) | 3,599,640円 |
4WD | 3,794,040円 | |
PROGRESS | 2WD(FF) | 3,780,000円 |
4WD | 3,974,400円 | |
PROGRESS“Metal and Leather Package” | 2WD(FF) | 4,129,920円 |
4WD | 4,324,320円 |
<2.5リッターハイブリッドモデル>
モデル | 駆動方式 | 価格 |
ELEGANCE | E-Four | 3,774,600円 |
PREMIUM | E-Four | 4,074,840円 |
PREMIUM “Metal and Leather Package” | E-Four | 4,424,760円 |
PROGRESS | E-Four | 4,604,040円 |
PROGRESS“Metal and Leather Package” | E-Four | 4,953,960円 |
オプションについて
オプションの内容に関しては、以下の通り。
- スペアタイヤ(応急用タイヤ)10,800円
- アクセサリーコンセント 8,640円(ガソリン車)、6,480円(HV)
- T-CONNECT SDナビ 351,000円
- T-CONNECT SDナビ+JBLプレミアムサウンド 432,000円
- クリアランスソナー&バックソナー 28,080円
- 寒冷地仕様 28,080円(ガソリン車)、24,840円(ターボ)、17,280円(HV)
- 電動ムーンルーフ 108,000円
- ホワイトパールクリスタルシャイン 32,400円
- スパークリングブラックパールクリスタルシャイン・・・32,400円
ハリアーのライバルの状況について
マツダの新型CX-5は、価格がほぼ据え置きながらも、車格がワンランク上がったかのような高い質感を実現している所がポイント。
さらに歩行者対応の自動ブレーキシステム採用に加え、国内のマツダ車初となる全車速対応化した追従機能付きクルーズコントロール搭載など、安全快適機能についてもかなり充実している。
同じく高級感を売りとしているハリアーにとって、新型CX-5は驚異的な存在となるのは間違いない。
<日産のエクストレイルも>
他にも、日産のエクストレイルが同じく2017年6月にビッグマイナーチェンジを実施する見通し。
2017年のエクストレイルのマイナーチェンジでは、2016年に話題となった単一車線自動運転技術のプロパイロットが搭載される。
電動パーキングブレーキ採用等、ハリアー並みの大改良が行われ、エクストレイルはハリアーにとって強力なライバルとなることが予想される。
ハリアーのマイナーチェンジの時期について
脅威的なハリアーのライバル車が登場する中、冒頭でもお伝えした通り、ハリアーのマイナーチェンジは2017年の6月8日に実施となった。
デザインの改良、ターボモデルの追加、安全快適装備の充実などFMCにせまる内容となっており、売れない理由がもはや見当たらない状況と言えよう。
もはやレクサスNXとの差がより縮まったといっても過言ではないだろう。
ハリアーの弟分でもあるC-HRが17年の新車販売台数で首位を獲得したが、それに続いて新型ハリアーも好成績を収めることが出来るのか要注目だ。